マグロにはどんな規制がある?クロマグロの漁獲・釣りのルールや資源管理を解説
マグロは寿司や刺身など、日本の食文化に欠かせない魚です。一方、マグロのなかには資源を持続的に利用するため、漁獲量や釣りにさまざまな規制が設けられている種類があります。
特に注意したいのが「クロマグロ」です。クロマグロは「本マグロ」とも呼ばれる高級魚ですが、国際的な資源管理の対象となっており、日本でも漁業者による漁獲だけでなく、一般の釣り人による遊漁にも規制があります。
本記事では、マグロにはなぜ規制があるのかをはじめ、クロマグロの漁獲規制、遊漁で釣る際のルール、サイズによる違い、漁獲可能量(TAC)などについてわかりやすく解説します。
※本記事の規制に関する情報は2026年8月31日時点のものです。クロマグロの遊漁規制は採捕状況などによって変更されるため、実際に釣りをする際は必ず水産庁の最新情報を確認してください。
目次
マグロには漁獲規制がある?
マグロには、種類や海域などに応じてさまざまな資源管理が行われています。
マグロは日本だけに生息している魚ではありません。太平洋や大西洋、インド洋など広大な海を回遊するため、一つの国だけで資源を管理することが難しい魚です。
そのため、国際的な地域漁業管理機関などを通じて、各国・地域が協力しながら資源管理を行っています。
日本でも国際的に決められた管理措置などを踏まえ、対象となるマグロについて漁獲可能量を設定するなどの管理が行われています。
なかでも、日本と関係が深く厳格な資源管理が行われているのが太平洋クロマグロです。
なぜマグロの漁獲を規制するの?
マグロを規制する大きな目的は、資源を持続的に利用するためです。
魚は自然界で繁殖する水産資源ですが、増える量を上回るペースで漁獲し続ければ、資源量が減少する可能性があります。
資源量が大幅に減少すれば、将来的に漁業を継続することも難しくなります。
そこで、科学的な資源評価を行いながら漁獲量などを管理し、適切な水準で資源を利用する必要があります。
マグロの場合には複数の国や地域をまたいで回遊するため、日本だけで規制しても十分ではありません。
国際的な協力による資源管理が重要になります。
クロマグロは国際的に資源管理されている
日本で「本マグロ」として知られている太平洋クロマグロも、国際的に資源管理されています。
中西部太平洋では「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」などを通じて、関係国・地域が資源管理について協議しています。
日本もこうした国際的なルールを踏まえて、国内のクロマグロ漁業を管理しています。
クロマグロについては漁業者が好きなだけ漁獲できるわけではなく、漁獲可能量(TAC)を設定した数量管理が行われています。
マグロの「TAC規制」とは?
マグロの規制を理解するうえで知っておきたいのが「TAC」です。
TACとは「Total Allowable Catch」の略で、日本語では「漁獲可能量」と呼ばれます。
簡単にいえば、特定の水産資源について「一定期間に漁獲できる上限」を設定して管理する仕組みです。
クロマグロについてもTACが設定されています。
日本全体の漁獲可能量を設定したうえで、大臣管理区分や都道府県などに配分し、漁獲量を管理します。
漁獲量が上限を大幅に超えてしまわないように管理することで、クロマグロ資源の持続的な利用につなげています。
クロマグロは小型魚と大型魚に分けて管理される
クロマグロの規制では、魚の大きさも重要です。
漁業の資源管理では、クロマグロを重量によって大きく以下の2つに分類しています。
| 分類 | 重量 |
| 小型魚 | 30kg未満 |
| 大型魚 | 30kg以上 |
小型魚と大型魚では、それぞれ漁獲可能量が設定されます。
若いクロマグロを過剰に漁獲すると、成長して産卵する個体が減る可能性があります。
そのため、魚の成長段階なども考慮しながら資源管理が行われています。
漁業者によるクロマグロの漁獲も管理されている
クロマグロの規制は、一般の釣り人だけを対象としたものではありません。
商業漁業についても漁獲可能量に基づく管理が行われています。
日本では、大臣管理区分となる沖合漁業や都道府県が管理する沿岸漁業などに漁獲可能量を配分します。
さらに、漁獲量の状況を把握しながら、必要に応じて配分量の調整なども行われます。
2026年のクロマグロについても漁獲可能量が設定されており、水産庁が管理状況を公表しています。
このように、クロマグロは漁業者・遊漁者を含めた資源管理が進められています。
一般人のマグロ釣りにも規制がある
「漁師ではなく趣味で釣るだけなら規制されない」と思う方もいるかもしれません。
しかし、クロマグロについては遊漁者による釣りにも規制があります。
クロマグロ遊漁に関する規制は、
・遊漁船からの釣り
・プレジャーボートからの釣り
・堤防など陸からの釣り
などを問わず、クロマグロを遊漁で採捕する人が対象になります。
そのため、偶然クロマグロが釣れた場合を含め、ルールを理解しておくことが重要です。
クロマグロの小型魚は釣って持ち帰れない
遊漁によるクロマグロでは、サイズによってルールが異なります。
クロマグロの小型魚については採捕が禁止されています。
遊漁における小型魚は「30kg未満」ではなく、尾叉長(びさちょう)による基準が使われるため注意が必要です。
水産庁が示している基準に従って大型魚・小型魚を判断する必要があります。規制対象となる小型魚を釣った場合には、持ち帰らず、直ちに海中へ放流しなければなりません。
「せっかく釣ったから持ち帰る」ということはできません。
大型のクロマグロなら自由に持ち帰れる?
大型魚であっても、自由に何匹でも持ち帰れるわけではありません。
クロマグロ遊漁では大型魚についても採捕数量が管理されています。2026年4月からは、バッグリミットが「1人各期間1尾まで」とされています。
対象となる期間は、下記の2か月単位です。
・4月、5月
・6月、7月
・8月、9月
・10月、11月
・12月、1月
・2月、3月
つまり、単純に「1日1尾」ではありません。
また、大型魚全体の採捕量が上限に近づいた場合などには、その期間中でも採捕禁止となることがあります。
釣行前に最新の採捕状況を確認することが非常に重要です。
2026年4月からクロマグロ遊漁に届出制が導入
クロマグロの規制で特に大きな変更となったのが、2026年4月から導入された届出制です。
クロマグロの大型魚を採捕しようとする遊漁者は、事前に水産庁へ届出を行う必要があります。
遊漁者の場合、毎回釣りへ行くたびに届出を行う必要はなく、対象期間中に1回の届出となっています。
また、クロマグロの大型魚を目的として遊漁者を漁場へ案内する遊漁船業者や、一定のプレジャーボート等の運航者についても届出制度が設けられています。届出を行っていない遊漁者は、クロマグロの大型魚を目的として採捕することはできません。
クロマグロを釣ったら採捕報告も必要
大型のクロマグロを釣った場合には、採捕に関する報告も必要です。
水産庁は遊漁による大型クロマグロの採捕数量を把握し、その状況を公表しています。採捕量が設定された上限へ近づいた場合には、採捕禁止措置が取られることがあります。
そのため、遊漁者一人ひとりが正しく採捕報告を行うことが、資源管理において重要になります。
具体的な報告期限や必要事項については、水産庁が公表している最新のルールに従ってください。
クロマグロは突然「採捕禁止」になることもある
クロマグロ釣りをするうえで特に注意したいのが、採捕禁止措置です。
大型魚については一定期間ごとに採捕量が管理されており、上限を超えるおそれがある場合などには期間を定めて採捕が禁止されます。
実際に2026年8月25日から8月31日までは、大型クロマグロの遊漁による採捕が禁止されました。
さらに2026年7月以降は、採捕禁止が水産庁のWebサイトで公表された場合、原則として公表翌日から採捕禁止期間となる運用です。
つまり、数週間前に確認した情報が釣行当日には変わっている可能性があります。
クロマグロ釣りへ行く場合は、必ず直前にも水産庁の最新情報を確認しましょう。
クロマグロを偶然釣った場合はどうする?
ほかの魚を狙っていて、意図せずクロマグロが釣れることも考えられます。
その場合でも、その時点の規制に従う必要があります。
採捕が禁止されているクロマグロについては、原則として直ちに海中へ放流する必要があります。特に未届出で大型クロマグロを採捕しようとすることはできません。
クロマグロが生息する海域で大型魚を狙う場合には、「知らなかった」でルール違反にならないよう、事前に最新情報を確認しておきましょう。
マグロ規制はクロマグロだけ?
マグロの資源管理はクロマグロだけではありません。
世界には、下記のようなマグロ類が存在します。
・クロマグロ
・ミナミマグロ
・メバチマグロ
・キハダマグロ
・ビンナガマグロ
それぞれ生息する海域や資源状態が異なるため、管理方法も異なります。
大西洋、インド洋、中西部太平洋などでは、それぞれの地域漁業管理機関を通じてマグロ類の資源管理が行われています。
そのため、「マグロには一律で同じ規制がある」というわけではありません。
魚種と海域ごとのルールを確認する必要があります。
マグロの規制を決める国際機関とは?
マグロは世界中の海を回遊するため、複数の地域漁業管理機関によって国際的な資源管理が行われています。
代表的な機関には以下があります。
WCPFC
WCPFCは「中西部太平洋まぐろ類委員会」です。中西部太平洋におけるマグロ類などの資源管理を行っており、日本も参加しています。太平洋クロマグロの資源管理とも深く関係しています。
ICCAT
ICCATは「大西洋まぐろ類保存国際委員会」です。大西洋に生息するクロマグロをはじめとしたマグロ類などの保存・管理に関する取り組みを行っています。
IOTC
IOTCは「インド洋まぐろ類委員会」です。インド洋におけるマグロ類などの資源管理を担っています。
CCSBT
CCSBTは「みなみまぐろ保存委員会」です。名前の通り、ミナミマグロの保存と持続的な利用を目的としています。このように、マグロの資源管理は日本国内だけで完結するものではありません。
マグロの輸出にもルールがある
マグロについては「獲る」段階だけでなく、流通・輸出についてもルールがあります。
たとえば2026年4月1日以降、一定の条件を満たす太平洋クロマグロの大型魚を輸出する場合には、適法に漁獲されたことなどを示す証明書の添付が必要になっています。
こうした制度には、違法・無報告・無規制(IUU)漁業などによって漁獲された水産物が流通することを防ぐ目的があります。
資源管理を実効性のあるものにするためには、「どれだけ獲るか」だけでなく「どのように流通するか」まで管理することが重要なのです。
マグロの規制によって資源は回復している?
太平洋クロマグロについては、過去に資源量の大幅な減少が問題となりました。
そのため、日本を含む関係国・地域が漁獲量を管理するなど、国際的な資源管理を進めてきました。
こうした取り組みを背景として、太平洋クロマグロの資源状況には改善がみられています。
ただし、資源が回復したからといって無制限に漁獲してよいわけではありません。
将来的にもクロマグロを持続的に利用するためには、科学的な資源評価に基づいて適切な漁獲量を設定していく必要があります。
マグロの規制に関するよくある質問
マグロは釣ってはいけない?
すべてのマグロ釣りが禁止されているわけではありません。
ただし、クロマグロについては遊漁にも規制があります。
小型魚の採捕禁止や大型魚の採捕数量管理、届出、採捕報告などのルールがあるため、釣行前には必ず最新情報を確認してください。
小さいクロマグロを釣ったら持ち帰れる?
遊漁では規制対象となる小型のクロマグロを持ち帰ることはできません。
該当する個体を釣った場合には、直ちに海中へ放流する必要があります。
クロマグロは1人何匹まで釣れる?
2026年度は大型魚について、バッグリミットが「1人各期間1尾まで」となっています。
ただし、大型魚全体の採捕量が上限に近づくと採捕禁止になる場合があります。
そのため「まだ自分は1尾も釣っていないから必ず釣れる」というわけではありません。
クロマグロを釣るには届出が必要?
2026年4月から、大型クロマグロを採捕しようとする遊漁者には事前の届出が必要となっています。
遊漁船業者やプレジャーボート等の運航者についても、それぞれ届出に関するルールがあります。
クロマグロの規制は毎年同じ?
同じとは限りません。
資源状況や採捕実績、国際的な管理措置などによって制度が変更される可能性があります。
特に遊漁では、年度途中でも採捕量に応じて一時的な採捕禁止措置が行われることがあります。
必ず釣行時点の最新情報を確認しましょう。
まとめ~マグロの規制は資源を将来へ残すために行われている~
マグロ類は世界中の海を回遊する重要な水産資源であり、魚種や海域に応じて国際的な資源管理が行われています。
マグロの規制は、単純に「魚を獲らせない」ためのものではありません。
資源を適切に管理しながら利用することで、将来も漁業を続け、マグロを食べられる環境を維持することが大きな目的です。
特にクロマグロを釣る場合には、過去の情報だけで判断せず、釣行直前に水産庁が公表している最新の規制内容を確認しましょう。
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