マグロの生態とは?生息地や食べ物・回遊・産卵・寿命などをわかりやすく解説
寿司や刺身など、日本の食卓で親しまれているマグロ。普段は切り身で目にすることが多いため、「マグロはどこに住んでいる?」「なぜ泳ぎ続けるの?」「何を食べて成長する?」など、その生態については意外と知られていません。
マグロは広大な海を泳ぎ続ける大型の回遊魚です。高い遊泳能力を持ち、種類によっては海を横断するほど長い距離を移動します。
本記事では、マグロの生態について、生息地や回遊、食べ物、泳ぎ続ける理由、成長、産卵、寿命、天敵などをわかりやすく解説します。
目次
マグロとはどんな魚?
マグロは、スズキ目サバ科マグロ属などに分類される大型の回遊魚です。
世界中の熱帯・温帯海域を中心に広く生息しており、日本でも重要な水産資源として利用されています。
「マグロ」と一括りにされることが多いものの、複数の種類が存在します。
日本で食用としてよく知られている代表的なマグロには、以下があります。
・クロマグロ
・ミナミマグロ
・メバチマグロ
・キハダマグロ
・ビンナガマグロ
種類によって生息する海域や成長する大きさ、寿命などが異なります。
特にクロマグロ類は非常に大型になり、成長した個体では体重が数百kgに達することもあります。
マグロはどこに生息している?
マグロは世界中の広い海域に分布しています。
種類によって主な生息域が異なり、太平洋、大西洋、インド洋などさまざまな海に生息しています。
たとえば、太平洋クロマグロは主に北太平洋に分布しています。
日本周辺の海だけで一生を過ごすわけではなく、太平洋を横断して北米沿岸まで移動する個体もいます。
一方、タイセイヨウクロマグロは大西洋や地中海、ミナミマグロは南半球の海域を中心に分布しています。
メバチマグロやキハダマグロは、熱帯から亜熱帯の海域に広く生息しています。
マグロは「回遊魚」
マグロの生態を理解するうえで重要なキーワードが「回遊」です。
回遊とは、魚などの生物が一定の目的や周期によって広い範囲を移動することを指します。
マグロは一つの海域にずっととどまるのではなく、
・餌を探す
・適した水温の海域へ移動する
・繁殖する
・成長する
といった目的で広大な海を移動します。
特にクロマグロは非常に広い範囲を回遊することで知られています。
クロマグロは太平洋を横断することもある
日本で「本マグロ」として親しまれている太平洋クロマグロは、非常に長い距離を移動します。
日本周辺などで生まれたクロマグロの一部は、成長する過程で太平洋を東へ移動し、北米西岸まで到達します。
さらに、成長後に再び西部太平洋へ戻ってくる個体もいます。
日本から北米までは数千kmもの距離があります。
マグロが非常に優れた遊泳能力を持っていることがわかるでしょう。
こうした広範囲の回遊を行うため、マグロの資源管理には一つの国だけではなく、複数の国・地域による国際的な協力が必要になります。
マグロはなぜ泳ぎ続けるの?
マグロは基本的に泳ぎ続けながら生活しています。
その理由のひとつが「呼吸」です。
魚はエラを使い、水中に溶けている酸素を取り込みます。
マグロは前進しながら口から海水を取り込み、その水をエラへ流すことで効率よく酸素を取り込みます。
このような方法は「ラム換水(ラム・ベンチレーション)」と呼ばれます。
マグロは活発に泳ぐため多くの酸素を必要とします。泳ぐことで大量の海水をエラへ流し、必要な酸素を確保しているのです。
マグロは止まると死ぬって本当?
「マグロは泳ぐのを止めると死ぬ」と聞いたことがある方も多いでしょう。
これはマグロの呼吸方法に由来する表現です。
マグロは泳ぐことで口から海水を取り込み、エラへ流すことに強く依存しています。
そのため、長時間泳げない状態になり、エラへ十分な海水を送り込めなくなると、必要な酸素を確保することが難しくなります。
ただし、「一瞬でも停止したらすぐ死ぬ」という意味ではありません。
マグロは泳ぎ続ける生活に高度に適応した魚である、と理解するとよいでしょう。
マグロの身体は泳ぐことに特化している
マグロの身体には、高速で効率よく泳ぐための特徴が数多くあります。
まず特徴的なのが、紡錘形の身体です。
頭から尾にかけて滑らかな流線型になっているため、水の抵抗を抑えながら泳ぐことができます。
さらに、
・強力な尾びれ
・水の抵抗を抑える身体
・発達した筋肉
・身体後方に並ぶ小離鰭
などを持っています。
マグロは身体全体を大きくくねらせるというより、主に身体の後方と尾びれを動かして推進力を生み出します。
こうした身体構造が、高速遊泳と長距離移動を可能にしています。
マグロの体温は海水と同じではない?
一般的に魚類は変温動物であり、体温は周囲の水温に大きく影響されます。
しかし、マグロ類の一部は筋肉など身体の一部を周囲の海水より高い温度に維持できる能力を持っています。
これには「奇網」と呼ばれる血管構造が関係しています。
筋肉で発生した熱を体内に保持することで、冷たい海域でも高い筋肉性能を維持しやすくなります。
特にクロマグロ類はこの能力が発達しており、幅広い水温の海域を移動できる理由のひとつと考えられています。
マグロは何を食べている?
マグロは肉食性の魚です。
種類や成長段階、生息海域によって異なりますが、主に、
・イワシ
・サバ
・アジ
・ニシン
・イカ
・甲殻類
などを捕食します。
小さい頃は小型の魚や甲殻類などを食べ、成長するとより大きな魚も捕食するようになります。
マグロは高い遊泳能力を活かして獲物を追いかけます。
高速で泳げる身体は、長距離を移動するだけでなく、餌を捕まえるうえでも重要なのです。
マグロはどのくらい大きくなる?
マグロの大きさは種類によって大きく異なります。
ビンナガマグロのように比較的小型の種類もいれば、クロマグロ類のように数百kgまで成長する種類もいます。
代表的な特徴を比較すると以下の通りです。
| 種類 | 大きさの特徴 |
| タイセイヨウクロマグロ | マグロ類最大級。数百kgになる |
| 太平洋クロマグロ | 大型で数百kg級になることもある |
| ミナミマグロ | 100kgを大きく超える個体もいる |
| メバチマグロ | 大型個体では100kgを超える |
| キハダマグロ | 大型個体では100kgを超えることもある |
| ビンナガマグロ | クロマグロ類より比較的小型 |
同じ種類でも年齢や餌、生息環境などによって大きさは異なります。
マグロはどのように成長する?
マグロは卵からふ化すると、非常に小さな仔魚として生活を始めます。
成長するにつれて小型の生物や魚を捕食し、身体を大きくしていきます。
クロマグロの場合、幼魚は地域によって「ヨコワ」や「メジ」などと呼ばれることがあります。
幼魚の時点では成魚とは比較にならないほど小さいものの、餌を食べながら成長し、大型個体では100kgを大きく超えるサイズになります。
マグロの成長速度や最大サイズは種類によって異なります。
マグロの寿命はどれくらい?
マグロの寿命も種類によって異なります。
大型になるクロマグロ類は比較的長寿です。
一方、キハダマグロやビンナガマグロなどでは、クロマグロ類とは寿命や成長速度が異なります。
魚の年齢を調べる際には、耳石などの硬組織に形成される成長の記録を利用する方法があります。
一般的に、長寿のマグロほど長期間成長することができるため、非常に大型になる可能性があります。
「マグロの寿命は一律○年」と考えるのではなく、魚種によって異なることを覚えておきましょう。
マグロはどこで産卵する?
マグロは種類ごとに特定の海域で産卵します。
太平洋クロマグロの場合、主な産卵場として日本の南方からフィリピン北方にかけての海域や、日本海などが知られています。
成熟したクロマグロは産卵期になると産卵海域へ移動します。
マグロは一度に多数の卵を産みますが、すべてが成魚まで成長できるわけではありません。
卵や仔魚の段階ではほかの生物に捕食されたり、環境条件によって生き残れなかったりします。
そのなかから生き残った個体が成長し、広い海を回遊するようになります。
マグロはどうやって繁殖する?
マグロは卵を産んで繁殖する魚です。
メスが海中へ卵を放出し、オスが放出した精子によって受精します。
受精した卵から仔魚がふ化し、成長していきます。
マグロは非常に多くの卵を産むことができます。
これは、自然界では卵から成魚になるまでに多くの個体が失われるためです。
大量の卵を産むことで、その一部が生き残り次の世代へつながります。
マグロに産卵期はある?
マグロの産卵時期は種類や海域によって異なります。
太平洋クロマグロの場合も、産卵場によって時期に違いがあります。
水温などの環境条件が繁殖と関係しており、成熟した個体は適した時期に産卵海域へ移動します。
こうした産卵場所や時期を把握することは、マグロ資源を管理するうえでも重要です。
産卵前の親魚や成長途中の若い個体を過剰に漁獲すると、将来の資源量へ影響する可能性があるためです。
マグロはどうやって寝る?
「泳ぎ続けるマグロはいつ寝るの?」という疑問を持つ方もいるでしょう。
魚の睡眠は人間とは異なります。
人間のように横になり、完全に身体の動きを止めて眠るわけではありません。
マグロも活動レベルを低下させ、休息状態になると考えられています。
呼吸のために泳ぐ必要があるため、完全に停止するのではなく、泳ぎながら休息すると考えられます。
マグロの睡眠を人間とまったく同じものとして捉えないことが重要です。
マグロに天敵はいる?
成長した大型のマグロは海洋生態系の上位に位置する捕食者ですが、まったく天敵がいないわけではありません。
幼魚の頃には、大型魚などさまざまな生物に捕食される可能性があります。
成長して大型になると捕食される危険性は低下しますが、大型のサメやシャチなどが脅威となることがあります。
そして、マグロに大きな影響を与える存在が人間です。
マグロは世界中で重要な水産物として大量に漁獲されてきました。
そのため、現在では魚種や海域に応じた国際的な資源管理が行われています。
マグロは群れで泳ぐ?
マグロは群れを形成して泳ぐことがあります。
特に若い個体などでは、同程度のサイズの個体が群れをつくることがあります。
群れをつくることには、餌を探したり外敵から身を守ったりするうえでメリットがあると考えられます。
また、マグロ漁では魚群探知機などを利用してマグロの群れを探す場合があります。
ただし、マグロが常に大きな群れで行動しているわけではなく、種類や年齢、環境などによって行動は異なります。
マグロの赤身が赤い理由は?
マグロの赤身が鮮やかな赤色をしている理由には、「ミオグロビン」という色素たんぱく質が関係しています。
ミオグロビンには筋肉内で酸素を保持する働きがあります。
長時間活発に泳ぎ続けるマグロには、酸素を利用する能力に優れた筋肉が発達しています。
そのため、マグロの筋肉にはミオグロビンが多く含まれ、特徴的な赤色になります。
マグロの赤身は、広い海を泳ぎ続ける生態と深く関係しているのです。
マグロは養殖できる?
現在ではマグロの養殖も行われています。
養殖方法には、天然の幼魚を捕獲していけすで育てる方法のほか、人工的にふ化させた個体を育てる方法があります。
卵から成魚まで人工環境下で育て、その親から再び卵を得る「完全養殖」の技術も研究・実用化されてきました。
ただし、マグロは大型で泳ぎ続ける魚なので、養殖には大規模ないけすや大量の餌などが必要です。
一般的な小型魚と比べると、飼育の難易度が高い魚といえます。
マグロの生態と資源管理の関係
マグロの生態を知ることは、資源管理を考えるうえでも重要です。
マグロは国境とは関係なく広大な海を回遊します。
たとえば、日本周辺で生まれた太平洋クロマグロが北米沿岸まで移動することもあります。
そのため、一つの国だけが漁獲を制限しても十分な資源管理にはなりません。
世界では海域や魚種に応じた地域漁業管理機関を通じ、各国・地域が協力してマグロ資源を管理しています。
日本でもクロマグロなどについて漁獲可能量を設定するなど、持続的に利用するための取り組みが行われています。
マグロの生態に関するよくある質問
マグロはどこに住んでいますか?
マグロは太平洋、大西洋、インド洋など世界中の海に広く分布しています。生息域は種類によって異なります。
マグロはなぜ泳ぎ続けるの?
理由のひとつは呼吸です。泳ぐことで口から海水を取り込み、エラへ流して酸素を取り込むラム換水を利用しています。
マグロは何を食べる?
イワシやサバ、アジなどの魚類のほか、イカや甲殻類などを食べます。食べるものは種類や成長段階、生息する海域によって異なります。
マグロはどれくらい大きくなる?
種類によって大きく異なります。クロマグロ類は非常に大型になり、数百kg級まで成長する個体もいます。一方、ビンナガマグロなどはクロマグロ類より比較的小型です。
マグロは寝ないの?
マグロにも休息する時間があると考えられています。人間のように完全に動きを止めて眠るのではなく、泳ぎながら活動レベルを下げて休息すると考えられています。
マグロは群れで生活する?
群れを形成することがあります。特に若い個体では、同じくらいの大きさのマグロが群れをつくることがあります。ただし、常に同じ群れで行動するとは限りません。
まとめ~マグロは広大な海を泳ぎ続ける大型回遊魚~
マグロは、世界中の海に生息する大型の回遊魚です。
クロマグロ、ミナミマグロ、メバチマグロ、キハダマグロ、ビンナガマグロなど複数の種類が存在し、それぞれ生息域や大きさ、寿命などが異なります。
マグロの大きな特徴は、泳ぎ続ける生活に高度に適応していることです。
流線型の身体や強力な尾びれ、発達した筋肉などを持ち、広大な海を効率よく移動します。また、泳ぐことで口から海水を取り込み、エラへ流して呼吸する仕組みにも適応しています。
マグロの生態を知ることは、その生命の面白さを理解するだけでなく、貴重な水産資源を将来にわたって利用していく重要性を考えるきっかけにもなるでしょう。
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